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薬剤師要必見!レムデシビルの注意点とは?

 
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好奇心旺盛な性格な薬剤師です。 医療系や、グルメや読書、スポーツなど何でもこなせるわけではない器用貧乏です。 Like:将棋/バスケットボール/読書/スープカレー/医薬品/腎臓

皆さんこんにちは!

5月7日に新型コロナウイルスの治療薬としてレムデシビル(ベクルリー®)が承認されました。

しかし、使用する際は注意点があり、必ずしもすべての人が使えるわけではありません。

特に、薬剤師の方々は添付文書が掲載されていますので、ぜひ参考にしてください。

ちなみに、前ブログにレムデシビルがどんな薬か記載していますので、参考にしていただければ幸いです。

前記事→ついに承認へ レムデシビルremdesivirという薬とは?

 

レムデシビル(ベクルリー®)の添付文書

添付文書とは、簡単に言うと薬の説明書です。

薬の使う量(用法用量)や使ってはいけない人や状態(禁忌)や使用上の注意などが記載されている、薬剤師にとってなくてはならない存在なのが添付文書です。

ここでは、レムデシビルの添付文書を一部抜粋して紹介します。

詳しく知りたい方は→添付文書『ベクルリー®点滴静注液 100 mg ベクルリー®点滴静注用 100 mg』

 

効果効能・用法用量

  • 効果効能:
    SARS-CoV-2 による感染症

 

  • 用法及び用量:
    成人及び体重 40 kg 以上の小児~投与初日に 200 mg を、投与 2 日目以降は 100 mg を 1 日 1 回点滴静注する。
    体重 3.5 kg 以上 40 kg 未満の小児~投与初日に 5 mg/kg を、投与 2 日目以降は 2.5 mg/kg を 1 日 1 回点滴静注する。
    なお、総投与期間は 10 日までとする。

 

重要な基本的注意:

  1. 本剤の投与経験が極めて限られており、これまでに報告されていない副作用(重篤なものを含む)が生じるおそれがあるため、本剤を投与する場合には、患者の臨床症状、臨床検査値(白血球数、白血球分画、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数、クレアチニン、グルコース、総ビリルビン、AST、ALT、ALP、プロトロンビン時間等)について、適切なモニタリングを行いながら慎重に患者を観察すること。臨床検査値は毎日確認すること。副作用が認められた場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を継続すること。
  2. 急性腎障害があらわれることがあるので、投与前及び投与中は毎日腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
  3. 肝機能障害があらわれることがあるので、投与前及び投与中は毎日肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
  4. Infusion Reaction(低血圧、嘔気、嘔吐、発汗、振戦等)があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察するとともに、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

 

副作用

本剤の投与を受けた 163 例のうち、50%(82 例)の患者に有害事象が報告された。
2 例以上で報告された重篤な有害事象は呼吸不全(10 例、6%)、急性呼吸窮迫症候群(3 例、1.8%)、呼吸窮迫(2 例、1.2%)、コロナウイルス感染(5 例、3.1%)、敗血症性ショック(3 例、1.8%)、肺炎(2 例、1.2%)、敗血症(2 例、1.2%)、急性腎障害(6 例、3.7%)、腎不全(4 例、2.5%)、低血圧(6 例、3.7%)、多臓器機能不全症候群(3 例、1.8%)であった。

※現段階でまだ投与経験が十分ではないため、様々な副作用が出てきそうですが、急性腎障害や肝機能障害、低血圧は要注意だと考えられる。

 

特定の背景を有する患者に関する注意

  1. 腎機能障害患者
    添加物スルホブチルエーテル β-シクロデキストリンナトリウムの尿細管への蓄積により、腎機能障害が悪化するおそれがある。非臨床試験でレムデシビルに腎尿細管への影響が認められている。腎機能障害を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない。

    重度の腎機能障害(成人、乳児、幼児及び小児は eGFR が 30 mL/min/1.73 m2 未満、正期産新生児(7 日~28 日)では血清クレアチニン 1 mg/dL 以上)の患者→投与は推奨しない。治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を考慮すること。

  2. 肝機能障害患者
    ①ALT が基準範囲上限の 5 倍以上の患者→投与しないことが望ましい。
    ②ALT が基準範囲上限の 5 倍未満の患者→治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。肝機能障害が悪化するおそれがある。肝機能障害を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない。
  3. 妊婦
    妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。(以下省略)
  4. 授乳婦
    治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。(以下省略)
  5. 小児等
    治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。(以下省略)
  6. 高齢者
    患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、既往歴や合併症を伴っていることが多くみられる。

 

腎機能や肝機能に障害のある患者には注意が必要ですが、状況が状況なので判断が難しい部分があるかと思います。

また、どの医薬品にも当てはまりますが、妊婦・授乳婦、小児など15歳未満の子ども、高齢者では具体的に投与されている例が少ないため、投与する際は注意が必要です。

 

まとめ

実際に使用できるようにはなりましたが、供給面の問題、副作用など安全性の問題などこれから立ちはだかる壁は多々ありますが、全世界で一丸となってこの苦難を乗り越えられればと思います。

そして、レムデシビルに続く治療薬やワクチンが開発されることを切に願っています。

 

参考資料

添付文書 『ベクルリー®点滴静注液 100 mg ベクルリー®点滴静注用 100 mg』

ギリアド・サイエンシズ社HP

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